一円でも多く、公平に!罰金で税金へっちゃぁ、ヘンテコな世界 繰延税金資産完全理解への道 part.6
皆さん、こんにちは!
前回は課税所得が自由に減らせる世界の話をしました。
でも、これらのお話しは税務会計に於いては認められないのです。
税金の徴収は「出来るだけ多く、公平に」です。
公平のところの意味を勘違いしないでください。
所得に応じて、累進課税制度の様に、金持ちからはいっぱい取るという考え方はあります。
そうではなく、恣意性によって、(同じレイヤーの納税者の中で)税額がぶれるのはやめようということです。
ここで、気づいた方も多いと思います。
そうです、税金を算出する為の税務会計に於いて、恣意性はご法度なのです。
これは財務会計と真逆の考え方ですね。
上記で話した貸倒引当金や減価償却費等は会計の世界で恣意性、見積もりを多分に含むものとして有名ですが、税務会計に於いては明確に基準があります。例えば、減価償却費に関しては、建物は○○年、備品は××年、と言ったように。
交際費も課税所得(税金を計算する元になる金額、課税所得×税率で税額が計算される)を減らす上限が決まってます。そりゃ、飲み食いして楽しんで、その金額で徴収できる税金が減っちゃったら税務署は怒りますよね。
あとは、罰金とか。
罰金はなんかわるいことをした会社に対して、反省を促すために課すものですよね。
その支払いの金額が費用となって、支払う税金も減るってことになったら、変な感じしますよね。
例えば、罰金1億円!!!となって、その支払額が課税所得を減らすことになったら、支払う税額は3,000万円減ることになりますよね。NETすると、正味の罰金は7,000万円ということになっちゃいます。これはおかしい。
罰金は反省代なのだから、それのせいで税金が減ってはならぬということです。
こういった感じで、税務会計は非常に細かなルールが決められております。
財務会計でいう税引前利益、税務会計でいう課税所得、位置づけは似ていますが、
費用として認められるもの、認められないものが明確に決められているんですね。
それも全て恣意性を排除し、一円でも多く徴収する為、もう少し細かく言うと、早く徴収する為です。5年後に徴収する1億円よりも今年徴収する1億円の方がいいのです。
この部分はFinanceのところでまた話しましょう。
今回は、税務会計のルール、考え方に就いてお話致しました。
私たちが目指す繰延税金資産を理解するにはまだまだ道のりは長いですw
が、ひとつひとつ物語として理解していけば楽しいですね。
では!!
いくらでも課税所得を減らせる世界があったら!? 繰延税金資産 完全理解への道 part.5
皆さん、こんにちは!
税務会計のお話し続けていきましょう。
BS、PL等を作るときに適用する財務会計は保守主義に基づいて、出来るだけ利益を少なく見せるというのはそろそろミミタコだと思います。
では、もし税金の徴収額もその保守主義的な考え方に基づいて算出されるとしたら、会社(経営者)はどうするでしょうか?
こういうことをしたくなるんです↓
例えば、ある顧客に1億円のものを販売し、売掛金は1億円ある。それを90%位回収できないと見込んで、9,000万円を貸倒引当金繰入として費用化する。
するとどうでしょう、費用が増えた分、利益は減って、支払う税金を減らすことが出来ました。
税率は30%だとすると、2,700万円節税できるわけです。
もう少し詳しくいうと、課税所得が2億円の場合、6,000万円の税金は発生しますが、9,000万円費用化することで課税所得は1億1,000万円となり、税金は3,300万円となります。
6,000万円-3,300万円=2,700万円が浮くということになります。
その他にもこんな例も考えられます。
1億円の固定資産を購入しました。(残存価値を0円として)10年間で定額償却する場合は毎年1,000万円を減価償却費として費用化できますね。
ただ、初年度に出来るだけ多く償却する方法を選択して、仮に初年度に3,000万円償却できた場合、こちらも(3,000-1,000)×30%=600万円税金をはらわなくて済むということになります。
もっというと、社内のメンバーで飲み食いしまくって、それも費用化して、税金の金額(厳密にいうと税金を算出する元の金額)を減らせるのであれば、使いまくりますよね。
でも、そんなこと許されるのでしょうか?
経営者の恣意性によって徴収する税額がかわるなんてこと許されるのでしょうか?
その答えは、次回!
では!
AがEに変わっただけでここまで変わるものか。ZAIMU VS ZEIMU 繰延税金資産 完全理解への道 part.4
前回は休憩がてら書評を挟みましたが、また繰延税金資産完全理解への道ということで、税務会計の根底にある考え方を見ていきましょう。
軽く復習ですが、財務会計は株主を始めとしたステークホルダーを対象に会社の現状をありのままに伝えることが目的でした。
そこでは「保守主義(出来るだけ収益は小さく、費用は大きく)」と「将来の見積もり(経営者によって変わる、恣意性が入る)」が重要なポイントでした。
前提として
が考えをシンプルにするために財務会計と税務会計を比較対象としています。
では、税務会計について深堀してきましょう。
そもそも、税務会計って何のために存在するのでしょうか?
答えはシンプルです。
税務署がその会社からとれる税金を算出する為ですね。
税金はいっぱい稼いだ会社からはいっぱい徴収、赤字になった場合は税金が取られないというイメージで宜しいです。
んで、ここでいう「いっぱい稼いだ」を判断する為の数字は財務会計PLのPBT、即ち税引前利益ではないのです。
いきなり、ビックリさせることを言うようですが、早めにビックリしておいた方が後々楽です。
問題を出します。
例えば税金が30%だったとします。
ある会社の税引き前利益が100億円でした。
法人税、及び税後利益はいくらでしょう?
簡便的に考えるのであれば、税金30億円、税後利益70億円でも正解ですが、
厳密には、少なくとも繰延税金資産を理解するには、「この問題文の条件では算出不可能」が正解となります。
別のアプローチをしましょう。
ある会社のPLで税引き前利益が100億円だったとします。税率は同様に30%だとして、
税引前利益100
▲法人税 27
税後利益 73
と言ったことが起こるわけですね。
え?
100×30%で30億円じゃないの?どうして27億円なの!?
と思うと思います。
それが通常だと思うのです。
なぜなら数年前の私がまさにそうだったからです。
この時はまだ気づいていなかったのです。
税引前利益に税率を掛けて税金は算出できないということを、、、、
そして、一般人には見えない税務会計というものの存在を、、、、
そうなんです。
スーパーマリオ4でスターロードの真ん中からマリオスタッフもびっくりコースをクリアーした後のあの裏面が出てきたときの様に、
ずっと左右の移動しかできなかった数直線の学習に於いて複素数の登場によって上下にも動くことが出来ようになった、あの時の様に、
財務会計だけでは算出できない税金を前に、税務会計という裏面があったことに気づいたのです。
「でも、財務会計もちゃんとルールに則って利益を計算してるんだからいいんじゃないの?」と思いますでしょ
だめなんです。
財務会計に於ける二つのポイント「保守主義」と「将来の見積もり」これがまさにダメなんです。
詳細は次回お話ししますが、
財務会計(ZAIMU)と税務会計(ZEIMU)、AがEになっただけですが、両社の考え方は真逆なんです。
税務会計は「保守主義の逆!」、「見積もり(恣意性)は入れない!」というのがポイントとなります。
面白くなってきました。
次回より、謎を解き明かしていきましょう!
では!
いきなり書評 「ドラッカーと会計の話をしよう」林總
ドラッカーも「利益は幻」って言ってた!!!!w
私にしては大変珍しいですが、本を読みました。
表紙に書かれていた『利益は存在しない』という一言にテンションブチ上がりとなり、図書館で速攻で借りた一冊。
勉強会の第一回目は絶対に、それ以降でも時折remindする『利益は幻』という言葉を、そのままドラッガーも使っていたと知ってアドレナリンがどくどくと出ました。
当然ですが、企業はGoing Concernで永続的に生きながらえるもの。それなのに、投資家の要求に併せて365日という中途半端な期間で区切って「利益」を出さざるを得なくなって、幻想に踊らされてしまう、と。
以下、特に気に入ったフレーズ一覧。
・利益と儲けは違う。
⇒儲けとは稼いだ現金、つまりキャッシュフローのこと(そうだったんだw)
・’利益’というものが、如何にいい加減なシロモノか
⇒大切なのは絵に描いた餅(利益)ではなく、札束
・経営はマラソンのようなものだ。10キロごとのラップタイムを競う競技ではない。だが、みんなラップタイムにしか興味がない。
⇒むりやり期間利益を計算することの意味の無さ
・会社にプロフィットセンター等存在しない。内部はコストの塊であって、顧客が製品を買ってくれない限り利益はどこからも生まれない。
⇒考え方次第と思うが、営業がプロフィットセンターというのは違うと。
・売上とコストに明確な因果関係が存在するわけではない。
⇒確かにそう。固定費を掛け過ぎてないか、と考える必要ありますね。
・PLにはどれだけムダがあったかはかかれていない。
・会計の知識では、正しい経営判断ができない
⇒PL脳からの脱却、かと言ってキャッシュフロー至上主義でもない。原価計算の本質、ABC(activity based costing)の提唱
・短期の利益を捻出するために支出を削減することは、将来のキャッシュフローを放棄することに他ならない。
⇒会社は未来に向かって突き進んでいく。カコを綺麗に見せるか、イマを大事にするのか、ミライの為にイマを犠牲にするのか。
本嫌いの私でものめり込み、一日で一気に読み終えてしまいました。
ただ、PL、通常の原価計算では不足だというのが本の趣旨でもある為、一通りの会計の基礎がある方じゃないと、今勉強していることを否定されている感じで混乱してしまうかもしれません。
一通り学習した方の超入門書という感じです。
おすすめ!
そもそも財務会計の根底にある考え方とは? 繰延税金資産 完全理解への道 part.3
みなさん、こんばんは!
さっそく、税金の話、考えていきましょう!
「利益とは会計というハコニワの中で決められたルールによって算出された幻の数字に過ぎない」
時代が変われば、会計ルールは異なるし、今現在でも国によって会計ルールは違いますよね。
全く同じ経済活動をしていても、日本のルール、アメリカのルール、ヨーロッパのルールが違うので違う利益になってしまうのです。
では、どのようなことに気をつけて会計ルールは作られているのでしょうか?
ステークホルダーにその会社の状況を正しく伝えるため、ですよね。
その為に大切な考え方が「保守主義」であったり、「見積もり」であったりしましたよね。
保守主義について理解を深めたい方はこちらをお読みください。
あと、会計報告は過去の実績の報告と思われがちですが、それは完全なる間違いで、不確定な将来に関する見積もりを多分に含んでいます。
裁判で負ける可能性高いから、PLマイナスしとこ、とか、この会社潰れて売掛金回収できなさそうだからPLマイナスしとこ、とか。
こういった将来のことを予想することを見積もりと言いますし、この二つの例って保守主義そのものですよね。
ここまでお話ししましたが、財務会計の目的は「関係者に正しく、会社の置かれている状況をお伝えする。基本的には保守主義(分かりやすくいうとネガティブ)で、悪い方悪い方へ考える」と理解できますね。
ネガティブ思考というのは、出来るだけ費用を大きくする(利益を小さくする)と言うことですね。
関係者にぬか喜びさせないということです。
テストの手ごたえあっても「満点だと思う」なんて言わずに「まぁまぁ、8割行けばいいかな」と低めにいう、あの感じです。
では、税金を算出する為の税務会計の目的、というか根底にある考え方って何でしょうか?
根底にある考え方が異なるので、ルールが違うのです。
これはUS-GAAP(米国会計基準)とIFRS(国際会計基準)が異なるのも同じことです。根底にある考え方が違うから、明文化されたルールが変わってくるのです。
ここが大事です。
具体的に言うと、財務会計に於ける「税引前利益」と税務会計に於ける「課税所得」は異なります。
計算のルールが異なるから、数値が変わる。
根底にある考え方(目的)が異なるから、計算のルールが異なる。
じゃあ、根底にある考え方をしっかりと理解することが大切ですね。
次回以降、税務会計の根底にある考え方に就いて一緒に考えていきましょう!
大丈夫です。
絶対に理解できますから。
では!!!
利益とは会計というハコニワの中で決められたルールによって算出された幻の数字に過ぎない 繰延税金資産 完全理解への道 part.2
みなさん、こんばんは!
では、繰延税金資産という「山の頂き」に到達すべく、基本的な考え方を一つ一つ理解していきましょう。
まずは、「税金」です。
財務会計を考える上でどうしてもおざなり、曖昧になってしまいがちなこの税金のお話し。
そもそも、なんで税金を苦手とするサラリーマンが多いのでしょうか?
ここでサラリーマンと記載したのは理由があります。
恐らく、普通のサラリーマンは自分の給料から天引きされる所得税等に興味はあるけど、会社が支払う法人税にはあまり興味ないと思うんです。
「儲ける」という観点でPLを考えても、企業内のいちサラリーマンからするとControllableなのは、せいぜい経常利益くらいまでで、それより下はUncontrollable、自動的に計算される、みたいな考えになってしまうと思うんです。
売上を上げるとか、コストを下げるとかは自分の手の内、自助努力でどうにかなるけど、会社が払う法人税のことって気にしないですよね。
だから、興味がないんです。
だから、部門とか子会社のPLで「繰延税金資産の取り崩しによる損失」とか「欠損金の期限切れ」とかいう話になると「・・・・・・?」となってしまうと思うんです。
ある意味、これはしょうがない。いちサラリーマンとして自分の本業、現業を頑張っている中で、会社が法人として払う税金について意識するなんて難しいのです。と僕は思うのです。
だからこそ、楽しく、情熱的に、感覚的に税務会計を、ある意味学問として理解していきましょう。
まず、最初に一番大切なことを申し上げます。
復習となりますが、大前提です。
財務会計は「利益とは会計というハコニワの中で決められたルールによって算出された幻の数字に過ぎない」と言うことです。
ここでいう利益とは財務会計のPLで算出する利益です。
今年も新たに新人さん向けの勉強会が始まりましたが、ここでも一番最初に申し上げたのが上記。
もう一度言います。
「利益とは会計というハコニワの中で決められたルールによって算出された幻の数字に過ぎない」
3,000億円の利益を出した会社のどこを探しても3,000億円はありません。
決まったルールに基づいて正しく計算された一つの計算結果に過ぎないということです。これをわたしは幻の数字と呼んでいます。
代ゼミの伝説の数学教師の言葉が思い出されます。
「(中略)ただな、この解放を覚えたからと言って、全ての接線の本数が数えられるようになったなどと思うな。所詮、手際よく解けるように作られた入試問題という箱庭の中でしかぁー、いっ、生きていけない解答にすぎないだぁ、いぃかぁ~?だからぁ、受かる為だって、それでいいんだよぉ。ぉーん。ぃぃかぁ~?」
今日はここまで!!
少しずつ、理解を深めていきましょう。
では!
もう知ってるふりはやめよう!繰延税金資産 完全理解への道 part.1
皆さん、こんばんは!
前回のCIA 熟達した専門的能力と専門職としての正当な注意は自分でも書きながら何のアドレナリンも出ず、悶々としました笑
今回はマンというマンを持して、勉強会でも質問の多い「繰延税金資産」についてお話していきたいと思います。
サラリーマンが選ぶ!会計世界の深入りしたくない分野、空けたくないパンドラの箱ランキングがあれば、
「税効果会計」「繰延税金資産」は1-2位にランクインすると思います笑
前にお話ししたEBIT、EBITDAも敬遠されがちですが、まぁこれはBS、PLを見る上では勘定として登場しませんから、出会わずにやり過ごすこともできなくはないんです。
あ、あとランキング上位に入りそうなのは「のれん」とか「減損」とかかな笑
では、今回から数回、繰延税金資産について説明します。
数回と書いたのは、理由がありまして、
やはり、この「繰延税金資産」は比較的難易度が高いのです。
ただ、このブログを読めば、高校生でも理解できるように説明します。
その為には理解すべき内容が結構多くあります。
費用収益対応の原則、利益とCashの違い(ここは復習ですね)、などなど。
初めて税務会計に触れる方はかなりボリューム感のある内容となると思います。
ただ、当社でもわかったふりをしている人が多い(と思われるw)繰延税金資産、
こいつの本質をしっかり理解してやりましょう!!
今まで逃げてきた、繰延税金資産、
ちゃんと説明できるか不安はありますが、これから一緒にがんばりましょう!
ってことで、今回はここまで笑
次回から本題に入ります!
では!