アメリカの損益計算書には経常利益がない理由を本気で考えてみた。
みなさん、こんにちは!
前回まででEBITとEBITDAの説明を終わらせました。
今回は少し概念的な話。
「経常利益はアメリカのPLには存在しない」という話をしていきたいと思います。
いきなり、わりと衝撃的なことを言いましたが、上記は事実なんです。
あと、一つ正しく言うと、アメリカではPLという言葉はあまり使いません。Income Statement(I/S)という言葉を使います。
イギリスではPLらしい。
米国版PL、Income Statementの例を見てみましょう。
Net Salesが売上高、Cost of salesが売上原価でGross profitが売上総利益ですね。
んで販売費及び一般管理費の中に、SGA、R&D(研究開発費)、Depreciation(減価償却費)が入ってて、それらを引いてOperating income、営業利益ですね。
ここまでは日本版と全くおんなじだ。
んでその下、営業外収益と費用はOther income/expenseと表記されて、日本版であればその下に経常利益、そんで特別損益があって税前利益なのに、
いきなり税前利益になっちゃってますね。
今回は特別損益がなかったからこうなっているわけではなくて、仮にあったとしてもこの「Other income/expense」に纏められてしまうのです。
なぜでしょう?
どちらが親切かと聞かれたら、日本式ですよね。
だって、一過性の損益は別で考えたいじゃないですか。だから、僕は経常利益好きですよ。存在意義、見出してますよ。
ただ、今回のポイントはどうやらそこ(特別損益)ではなさそうです。
利息関連(金融収益、費用)を抜き出して表記する必要があったか、なかったかの違いです。
まず、バシッと申し上げると、アメリカに於いて、本業での儲け以外の損益は、経常的であれ非経常的であれ、全て『その他』と整理します。 背景を考えてみましょう。
日本では長らく間接金融、特に銀行の力が非常に強い時代が続いて来ました。
長期の設備投資も借入で賄っているようだと、金利は毎年発生し、金利差し引き後の利益(=経常利益)が、実質的な事業の利益であり、株主の取り分として重要な指標となっていました。
ちなみに、間接金融とは僕たちが銀行に預けているお金を銀行が企業にまた貸ししているというイメージです。
一方直接金融とは企業が社債を発行して市場で債権者から直接お金を借りる方法です。 その分、米国では株式市場が発達していた為、わざわざ金融コスト(銀行への利息)だけ分けて認識する必要性が低かったのです。
なので、「アメリカには経常損益の概念がない」ではなく「アメリカには金融損益と特別損益を分けるという概念がない」と考えるべきなのです。
Debt Financeの日本、Equity Financeのアメリカ、という歴史の流れがそれぞれ独自の損益計算書のフォーマットを作っていったんですねぇ。。
しみじみ、、、、
いかがだったでしょうか!
会計を楽しむにはこの辺まで深く理解していきたいですね!
ではまた、来週からCIAコツコツ頑張ります、、笑
では!!!